パリで開催されたイーサリアムコミュニティカンファレンス（EthCC）で、StarkWare の共同創設者である Eli Ben-Sasson は、Starknet コントラクトの開発に使用される高速ツールキットである Starknet Foundry のリリースを発表し、Starknet アプリチェーン（Appchains）のリリースを予告しました。
Starknet 公式の Starknet スタックの紹介ドキュメントによると、アプリチェーン（Appchains）は、特定のアプリケーションの要件を満たすために設計されたアプリケーションブロックチェーンです。Starknet アプリチェーンは、環境をカスタマイズするために主に使用され、アプリケーションは Starknet インスタンスをカスタマイズして、より良い制御、低コスト、大規模化、およびオプションのプライバシーを実現することができます。Starknet アプリチェーンの作成により、アプリケーションはユーザーにより良いスループットとユーザーエクスペリエンスを提供することができます。
Starknet は、StarkWare の SaaS 製品である StarkEx が dYdX や Sorare などのイーサリアム上の L2 アプリチェーンにパワーを与えていることを示しています。2023 年 7 月までに、StarkEx は累計取引額 1 兆ドルを突破し、5 億件以上の取引を処理しました。
Starknet スタックは、STARK プルーフ、Cairo プログラミング言語、ネイティブアカウント抽象化など、Starknet の構築モジュールによって多くのアプリケーションとユースケースを引き付けています。Starknet がメインネットで v0.12.0 にアップグレードするにつれて、Starknet は他の L2（特に EVM 互換の L2）に比べて時間の経過とともに性能の優位性が増すことが予想されます。
Starknet スタックは、Cairo によってサポートされ、Starknet エコシステムによって開発され、Starknet Foundation によって開発パートナーとの協力によって精心に計画されています。
どのような利点がありますか？
Starknet スタックにより、アプリケーションはカスタマイズされた Starknet アプリチェーンを起動することができます。利点には、パブリックな Starknet 上の混雑を防ぎ、ユーザーにより良いスループットとユーザーエクスペリエンスを提供することができることが含まれます。アプリチェーンは、パブリックチェーンでサポートされていない機能（例：独自の料金市場ロジック）を自由に実装することができます。Starknet アプリチェーンは最もスケーラブルなロールアップであり、コンセンサス、ブロックチェーンパラメータ、およびデータの可用性など、さまざまなパラメータを設定することができます。
分散化
Starknet スタックは、最も分散化された L2 スタックに急速になっています。Starknet Foundation は、Starknet のこの特性を実現することに取り組んでいます。
Starknet Foundation の CEO である Diego Oliva は、分散化されたスタックにより、ネットワークがより安全で、弾力性があり、透明性があり、スケーラブルで、単一のエンティティに依存せず、シングルポイントの障害や「ブラックボックス」がないことが可能になります。
Starknet スタックの分散化の最新の例は、Madara Sequencer です。Madara は Substrate に基づいており、プラグアンドプレイの分散化コンセンサスメカニズムに依存しています。このコミュニティの開発作業は 2023 年 2 月に始まり、45 人のコミュニティ開発者によってこれまでに 740 回以上のコミットと 400 以上のマージされた PR が生成されました。
Starknet アプリチェーンを起動するためのスタックの構築に関しては、LambdaClass が Starknet Stack を構築しており、最終的にはプルーフ、シーケンサ、実行エンジン、およびネットワークブラウザを含む Starknet インスタンスに統合される予定です。
エコシステム＆コミュニティ
Starknet エコシステムの目標は、スタックの各コンポーネントに複数の実装を提供することです。以下の図は、異なるチームとその開発中のインフラストラクチャの紹介です。
コアコンポーネント以外にも、いくつかの重要な補完コンポーネントとサービスがアプリチェーンを実行するために使用されます。これには、ブロックチェーンブラウザ（Starkscan、ViewBlock、Voyager、LambdaClass のブラウザ（開発中））、インデクサ（Abibara、Checkpoint、TokenFlow）、API サービス（Alchemy、Infura）、ブリッジ（LayerSwap、Orbiter、StarkGate）、入金（Banxa、Ramp）、ウォレット（Argent、Braavos、Cartridge、Metamask's Snap（2023 年 9 月にリリース予定））、特定のドメイン向けのアプリ開発フレームワーク（Dojo（ゲーム））などが含まれます。
次のステップ
Starknet スタックは現在開発中であり、今後数年間でさらなる発展と改善が行われる予定です。現時点では、Starknet アプリチェーンは StarkWare によって運営され、ホスティングサービスとして実行されることができます。最初の Starknet アプリチェーンはまもなくメインネットでクローズドテスト版として開始される予定です。
Starknet は、LambdaClass、Nethermind、StarkWare などの Starknet エコシステム開発チームや Rollup-as-a-Service プロバイダーがアプリチェーンのホスティングサービスを提供することが予想されます。
アプリチェーンは、自身が実行するスタックコンポーネントと、StarkWare の SHARP などのホスティングサービスで実行されるコンポーネントを選択することができます。これには、厳格なオープンソースコンポーネントやプロプライエタリ技術への依存を選択することができます。
なお、アプリチェーンは最初はイーサリアム上の L2 ですが、長期的には存在しません。StarkWare は 2021 年に L3 の概念を導入しました。StarkWare は、より大規模なスケーリングと低コストを実現するために、Starknet アプリチェーンを L3 に移行すると考えており、L2 のパブリック Starknet 上で実行されます。